前回の延長戦。
今回の内容は
もう前回の記事で紹介されていることは普通にできてる!
とりあえず撮りたい生き物は撮れるようになったけど、構図のマンネリ化だったり撮影に行き詰まっている・・・
そんな方にはもしかしたら参考になるかもしれません。
というか水族館で撮りたい生き物は撮れるようになってる時点で立派な変態です。
〜そんな変態の皆さまに送る、さらなる沼への誘い〜と題し、
水族館撮影で使える小技(というより僕が館内で意識していること)を紹介します。
水族館撮影をちょっと豊かにする6つの提案
その1 全身真っ黒コーデ
水族館撮影は基本アクリル越しなので、観覧者側が水槽内より明るいと高確率で写り込みが発生します。写り込みさえなければベストショットだったのに...という瞬間はこの趣味を続けていると幾度となく訪れます。そしてそんな機会を激減させてくれるのが真っ黒コーデです。夏はちょっとキツイものがありますが、冬場は黒いコートを羽織るだけで効果があるのでオススメです。
また昨今はマスクの着用が義務付けられている園館も多いです。撮影スタイルやレンズの焦点距離にもよりますが、黒マスクだとさらに安心です。
しかし、そこまで黒くしても意外と写り込んでしまうのがカメラを構えている手です。なので黒手袋もするとある程度の写り込みに関しては無敵になれます。
その2 撮る被写体(水槽)をあらかじめ決める
これは通い詰めて撮り慣れている園館じゃない園館での撮影時のことですが、これをするだけでベストショットの確率が大幅に上がります(あくまで当社比)。
僕の腕がまだまだ未熟ということもあるのですが、基本それなりの時間粘った水槽でしか自分が最高!!と言える写真は撮れません(たまたま撮れちゃうこともあるけど)。
そして限られた滞在時間の中で一つの水槽にまとまった時間を割くには、あらかじめ今日はこの生き物(水槽)を撮ると決めておく必要があります。今日はクラゲとペンギン、今日はとりあえずこの水槽で粘るなど、大雑把でもいいので今日は◯◯を撮りに行くのだ!と決めておくとモチベーションも上がり、着いてからあれもこれもとあたふたしたりせずに済みます。
また、自然光が入り込む水槽がある園館の場合は、水槽に陽が差し込む時間はその水槽にいる被写体、差し込まなくなったり天気が乱れたら自然光の影響を受けない水槽にいる被写体など、天候と相談して滞在プランを組むのもオススメです。
何度か行っている園館ならば、水槽の状況や展示生物などを事前に知っている分だいぶ決めやすいと思いますが、初めて行く園館では事前にHPなどを見たり、SNSを利用してどんな水槽が、どんな生き物がいるのかなどを調べておくといいでしょう。
とはいえ初訪問の園館ではただでさえ見るものが多い上に、水槽の構造だったり各種イベントの内容など実際に見てみなければわからないものが多いです。なので最初の一周は撮影のことは一旦忘れて純粋にその水族館を楽しむという気持ちで周って、2周目に1周目で気になった被写体や水槽を集中して撮影するというのがオススメ。
とまぁ長々と書いてしまいましたが、要は館内でのタイムスケジュールをあらかじめ決めて撮影に臨むというのがベストショットの打率を上げるためには有効ということです。
その3 照明の位置を意識した撮影
明るい水槽ではさほど意識しなくてもいいのですが、やや暗い〜めっちゃ暗い水槽ではかなり大事になってくるテクニックです。というより暗い水槽やクラゲ水槽ではほぼ必須級の小技です。
このサンシャイン水族館の清流水槽はけっこう明るい部類の水槽なのですが、非常に照明の位置がわかりやすいので例として写真を出します。水槽中央部に数箇所強く光が入って来てるポイントがあります。そのため撮影するときは照明のところに来た生き物を積極的に狙うようにすると明暗がはっきりした立体感のある写真になります。
一方こちらのイカ水槽では一見どこに照明があるのかわかりません。
しかし水槽中央部にちゃんと光が強く当たるポイントがあります。生き物に照明が当たらないと分かりづらいのですが、生き物がそのポイントに来ると一目瞭然です。
なので、撮る水槽や被写体を決めたらその水槽のどこに照明があるのかをまず観察して探しましょう。位置を特定したらあとはそこに被写体が来るのを待つのみ。
照明の下に来た生き物を狙えば明るい分ISO,SS,F値に余裕が生まれるため撮りやすいのは言わずもがな。明暗のコントラストがはっきりした立体感のある写真にもなるためメリットしかありません。
ただ、銀メッキが強かったり白い生き物の場合、思った以上に反射が強すぎて白飛びしてしまう可能性もあるのでそこだけ気をつけましょう。
その4 生き物の動きを意識した撮影
これは躍動感のある写真を撮りたい場合に意識することです。やはり生き物たちが活発に動いている瞬間こそ切り取りたくなるのが水族館撮影の醍醐味。というより写真の醍醐味でもあると思います。
もちろん動いている分簡単には撮影できないのですが、ある程度水族館撮影に慣れてきた方は狙ってみてください。
おすすめなのは魚がターンする瞬間やペンギン、カワウソが泳いでいる瞬間などです。あとは基本底でじっとしているけどたまに泳ぎだす魚など、普段動きがあまりない生き物のダイナミックな瞬間を狙うと自分でもにんまりしてしまう写真が撮れると思います。
また、先の照明の位置を意識した撮影と合わせて、照明や差し込んだ自然光の下で魚がターンする瞬間などを待つのもありです。条件がかなり絞られるので忍耐力と一つの水槽で粘れるほどの空いている状況が必要になりますが、人があまりいない日に水族館に訪れた際は奇跡の瞬間を狙ってみるのも楽しいですよ。撮れたら思わずガッツポーズが飛び出ること間違いなしです。
その5 フィーディングタイムを狙う
これはその4に通づるものがあるのですが、フィーディングタイムは動きの宝庫です。普段はあまり動かない生き物や動きがゆっくりな生き物たちの野生の本能を垣間見ることのできるチャンス。
正直早すぎてカメラで捉えるのは至難の技ですし、かなりのSSを要求されることがほとんどなので相当明るい水槽でないとそもそも撮れないという事案が発生しますが、比較的撮影のしやすい水槽でのフィーディングタイムは積極的にシャッターを切りましょう。
ちなみに被写体の生き物にもよりますが、餌を食べる個を狙うより餌に集まる群を丸ごと切り取るのが個人的なおすすめです。群の撮影となると自然と広角寄りの撮影になるので、撮影難易度も抑えられるというのもポイント。
またフィーディングタイムはイベント扱いにしている園館が多いため、タイムスケジュールを出しているところがほとんどです。なのでお目当の生き物のフィーディングタイムやイルカショーなどは、その2でも書いたように館内での自分のタイムスケジュールにあらかじめ組み込んでおくと撮影効率がちょっと上がると思います。
その6 アクリル面スレスレの生物を狙う
この小技は様々な応用が効くのでぜひ実践してもらいたいテクニックです。メリットは3つ。
1.生き物の質感を鮮明に撮れる
アクリルスレスレということはカメラと被写体が近くなるということ。つまりその間にある水の影響(屈折だったり透明度)をほぼ受けません。大水槽などアクリルがとても分厚い水槽ではやや効果が減少しますが小〜中規模の水槽においては効果大。鮫肌や鱗などの生き物質感をこれでもかと鮮明に撮ることが可能です。
2.湾曲しているアクリルの影響を受けにくい(=基本どんな形の水槽でも応用可)
これも上とほぼ同様の理由なのですが、水の影響があまりない分アクリルによる歪みだけしか撮影の障害にならないので、円柱水槽やトンネル水槽などでアクリル面から遠い個体を狙った際におきる歪みの影響を最小限に抑えることが可能です。
円柱水槽や湾曲している水槽はお手上げという方もいるかもしれませんが、スレスレまで来てくれた被写体に関してはかなり綺麗に撮ることができるのでぜひ狙ってみてください。
3.暗い水槽では通路側の照明を被写体に反射させて明るさを稼ぐことができる
これはまさに小技中の小技。深海水槽など暗めの水槽でたまに使えるテクニックです。園館にもよりますが、暗めの水槽内より通路側のほうが明るかったり、照明が強かったりします。そんな時こそこのテクニック。アクリル面スレスレに来た生き物たちは通路側の照明に照られされる瞬間が発生します。すると大抵の場合暗い水槽内照明に照られるよりも明るい状況になるので、わずかな余裕が生まれてSSやF値、ISOに明るさの余裕を還元することが可能になります。
ただ実践できる園館(水槽)、生物が限られているのでそこだけご注意を。
とまぁこの通りメリット尽くしです。
ただ1点デメリットを上げるなら基本的に生き物のドアップ写真などになってしまうので構図が似通ってしまうこと。ただ、超広角〜広角レンズならば多少角度をつけて撮影することも可能なので構図の選択肢はだいぶ広がります。ということでデメリットはないですね(暴論)。
ということで以上6ついかがでしたでしょうか。
いきなり6つも意識できんわってなるかと思いますが、「その2 撮る被写体をあらかじめ決める」だけでも意識してみてください。これだけでもだいぶ打率が上がると思います。
そして撮影で最も大事なのが
マナーを守って譲り合いの精神を忘れない
撮影マナーに関しては人それぞれのルールがあってしかるべきだと思うので、撮影者はこうあるべきだなんてことは言えませんが、水槽の独占やフラッシュなど最低限のマナーは守りましょう。
さいごに
水族館撮影上達の最大のコツなんて偉そうに言える身分ではありませんが、これに関してはひたすら水族館に通って写真を撮るに限ると筆者は思っています。特定の園館での撮影に慣れれば慣れるほど色んな発見があり、その園館での撮りたい瞬間が明確になっていきます。そうやって馴染みのある園館をちょっとずつ増やしていくのがこの趣味の個人的な楽しみでもあります。
場数を踏めば踏むほど未訪の園館に訪れてもこの水槽はこうやって撮ればいける、この生き物はこの設定で撮ればいけるなど、自分ルールも徐々に定まっていき、様々な環境でも対応できるようになり撮影がどんどん楽しくなると思います。
機材の数×構図の可能性×園館の数×生き物の数×その人の視点=?。とんでもない数の選択肢が水族館という撮影環境の中だけでも広がっています。
今回の記事や前回の記事がそんな選択肢を増やすお役に立ったのならば幸いです。
今後も楽しい水族館撮影ライフを。
最後まで読んでくださりありがとうございました。